岡城の魅力

石垣の魅力 Stone wall

難攻不落の堅城 〜土の城から石の城へ〜

難攻不落の堅城と謳われる岡城。その所以は周囲を囲う「断崖絶壁」と、その絶壁上に築かれている「石垣群」であると言えます。
戦国時代末期の天正14年(1586)、志賀親次の守る岡城に、薩摩の島津氏の大軍が攻め入ってきましたが、険峻な要害である岡城を落とすことができず、撤退したという歴史が残っています。当時の岡城には現在見る石垣群は無く、土塁や空堀など土で造られた山城でした。
文禄3年(1594)に岡城主となった中川秀成が、島津氏撃退でも証明された要害堅固な地形を土台とし、「土の城」から「総石垣造りの石の城」へ大改修を行い、今の岡城を形成しました。

圧巻の石垣群 〜石垣の大城郭〜

近世初頭、中川氏により総石垣の城郭へと改修された岡城は、断崖絶壁上を石垣で取り囲み、その上に塀や櫓などの建物が立ち並ぶ大城郭となりました。
明治に廃城となった後、城内の建物は取り壊されたため、現在は石垣しか残されていませんが、城内の各曲輪、門跡、櫓台などは全て石垣により構築され、大小さまざまな石垣が連なる圧巻の石垣群により、往時の大城郭の姿をうかがい知ることができます。中でも、主郭部である三の丸北側から二の丸にかけて続く絶壁上に築かれた高石垣は、壮大さと美しさを生み出しており、必見です。
豆知識「屏風のような石垣」
三の丸の高石垣は、屏風のようなジグザグの形をしています。これにより2方向から矢を放つことができるため、敵を撃退するのに役立ちました。このような構造を「横矢掛り」と呼びます。
まるでヨーロッパの古城のような石垣の美
岡城の入り口である大手門では、まるでヨーロッパの古城のような形の石垣を見ることができます。また、大手門の裏にはアーチ状に積まれた石垣があり、当時の城主である中川氏の美に対するこだわりをうかがうことができます。
不思議な形状のかまぼこ石
現在来城者用の入り口として使用されている大手道には不思議なアーチ形状の石垣、通称「かまぼこ石」が見られます。
制作技法などについては謎の部分も多く、他の城では見られない岡城の特徴のうちの1つです。
豆知識「阿蘇山の溶結凝灰岩」
岡城の石垣は、阿蘇山の噴火によって川に流れ込んできた火砕流が冷やされ、石になったものを使用して築かれました。この石は加工がしやすく、石垣作りに向いていました。
現在も城下の川で石を切出した跡を見ることができます。

多様な技法が用いられた石垣

岡城の石垣には多くの技法や積み方が用いられています。城内見ることができる石垣の石の加工や石の積み方を紹介いたします。

多様な技法が用いられた石垣

野面積み
自然石をあまり加工せず使用する技法。
打込接ぎ
石と石の接合面や石の表面を多少加工し、隙間を少なくする技法。
切込接ぎ
石を整形し、密着させ隙間をなくす技法。
これらの技法のうち、「切込接ぎ」「打込接ぎ」が岡城では多く見られ、特に太鼓櫓門では2mほどの巨石が「切込接ぎ」により隙間なく積まれており、岡藩の石積技術の高度さを見ることができます。

石の積み方による分類

乱積み
不規則に積み上げられた石垣。
布積み
石が横に一直線になるように積み上げられた石垣。
谷積み
石を斜めに落とし込んで積み上げられた石垣。
算木積み
石垣の角部に用いられる石積。
岡城では「布積み」「谷積み」が多く用いられ、石垣の角には「算木積み」が施されています。
豆知識「鏡石」
当時、職人の技術力や大名の力を外部にアピールするため、石垣に一際大きな石を埋め込むスタイルが各城で見られました。この大きな石を「鏡石(かがみいし)」と呼びます。
岡城跡では大手門・太鼓櫓門などで見ることができます。ぜひ探してみてください。
豆知識「刻印のある石」
「鏡石」の他にも、各城の石垣で見られる特徴として「刻印のある石」があります。
岡城跡では本丸や近戸門周辺の石垣で見ることができます。ぜひ探してみてください。