7月23日、農林水産省は、国際かんがい排水委員会(ICID)が大分県竹田市内にある21の水利施設を「世界かんがい施設遺産」に認定することを決定したと発表しました。今後、9月10日にクアラルンプール(マレーシア)での国際執行委員会で認定証などが交付されます。
岡城跡散策と一緒に「竹田のかんがい用水群」も巡ってみてください。
竹田市公式ホームページの記事はこちらから
https://www.city.taketa.oita.jp/soshiki/somuka/hisyo/etc/photonews/11486.html
さて、本市の遺産の名称は「竹田のかんがい用水群」。
テーマは「でこぼこ・かちかちで生きるイロイロ」。中山間地における水田開発の苦労と農業水利の発展の歴史を物語る貴重な施設で、起伏に富む地形のため、隧道(トンネル)や水路橋など高度な水利技術が求められ、湧水や滝を自然のまま用水システムに組み入れた独創的な用水路も築造されました。
【関連する指定等文化財】
白水溜池堰堤水利施設(国指定重要文化財)※富士緒井路、白水ダム
明治岡本井路(石垣井路)(国登録有形文化財)
若宮井路笹無田石拱橋(国登録有形文化財)
若宮井路鏡石拱橋(市指定有形文化財)
白水の滝(国登録記念物)※荻柏原井路の取水口あり
落門の滝(国登録記念物)※城原井路の末流のひとつ
【申請の概要】 ※申請書より抜粋
申請施設は,大分県竹田市に位置し,大野川(流域面積1,465 km2,長さ107 km)上流の中山間部の水田をかんがいする大小21本の用水路群である。これらの用水路は,1663年から1924年にかけて築造され,現在も2,562 haの水田に用水を供給する。竹田では,豊富な水資源を活かして,古くから稲作が行われてきた。しかし,竹田は中山間地にあって,起伏に富む地形のため,かんがいには隧道や水路橋など高度な水利技術が求められた。また,平野部は河川沿いにわずかな面積で点々とあるため,数多くの取水堰,用水路,分水工が必要であった。最も古い城原井路(1663年築造,幹線水路7.7 km)は,多数の支線水路とあわせた総延長が約130 kmであり,広域に点在する水田へ用水を供給するため,約1,300の分水箇所がある。また,幹線用水路の下流部には,かつて高台から余水を放出して台地底部の水田に用水を供給する仕組み(「落門の滝」(国・登録記念物))があった。白水井路(1900年築造,幹線水路8.3 km)や富士緒井路(1914年築造,幹線水路14.2 km)では,隧道区間がそれぞれ7.1 kmと11.7 kmにもなる。また,総延長約175 kmの 明正井路(1924年築造)には17基の水路橋がある。特に,6連アーチ橋は国内最大規模の石造水路橋である。このように,現存する竹田の用水群は,中山間地における水田開発の苦労と農業水利の発展の歴史を物語る貴重な施設といえる。

